2010年06月27日

【観た人にしか伝わらないネタバレ映画レビュー】

『スペル』(2009年 米)

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(C) 2009 Curse Productions,LLC

『スペル』(原題: DRAG ME TO HELL)
2009年 アメリカ作品
監督 : サム・ライミ
出演 : アリソン・ローマン 、ジャスティン・ロング 、
アドリアナ・バラッザ ほか


---- あらすじ/ストーリー ----
銀行の融資窓口で働くクリスティンは、誠実な仕事ぶりで評価されている真面目な銀行員。その日、不動産ローンの延長を求めてやってきたガーナッシュ夫人に対し、クリスティンは上司と相談した上で申請を却下することにした。するとガーナッシュ夫人はこれに憤慨し、仕事が終わったクリスティンを駐車場で待ち伏せして襲いかかった。そして別れ際に彼女が発したのは、謎めいた呪文のような言葉だった…。

以下はこの映画に対するコメンタリーとなります。
ネタバレ(画像付き)なので注意してください!


A: 今回は、サム・ライミの 『スペル』 についてコメンタリーしていくぞ。

B: サム・ライミといえば 『スパイダーマン』 の監督として知った人たちが多いと思いますが、実はもともとB級ホラー出身で、初監督作品 『死霊のはらわた』 でその才能を魅せつけ、20年以上前から注目された存在でした。そんな彼がまたホラー界に戻ってきたのはAさんにとっても嬉しいのでは?

A: そうだね、B級テイストのホラー作品にはアイデア性を感じる。ここから生まれてくる独創性が、相乗効果としてメジャー級の作品性を高めてくれると私は信じているよ。ところでBくん、正直なところ私は 『死霊のはらわた』 をまだ観ていないんだよ。

B: えっ、観たことないんですか!? ホラー好きなのに?

A: サム・ライミを知ったのは 『ダークマン』 かな。顔を火傷で失った研究者が復讐するダーク・ヒーローものなんだけど、火傷の顔を隠すために使用する人工フェイスの描写がかっこよかった。時間がたつと人工フェイスが崩壊しはじめるんだよね。その崩れた顔がたまらなくいい! だから、『スパイダーマン』 を撮ると聞いたときは彼ならヒーロー像を描くのが得意だからおもしろくなるぞ、と思ったね。

B: そうだったんですか。私は 『死霊のはらわた』 も 『ダークマン』 も観たことがないのでサム・ライミ自体がお初でした。その 『ダークマン』 という作品おもしろそうですね。今度観てみたいと思います!

A: 私は 『死霊のはらわた』 を今度観ておこうと思うよ。

B: じゃあ、『スペル』本編を観ていくことにしましょうか!

A: そうだね。

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B: ユニバーサルピクチャーが登場するオープニング。80年代を意識したクラシックなのロゴになっています。

A: この始まりからして監督が80年代のB級ホラーをいかに徹底的に意識したかが窺えるね。完ペキな始まりだ。

B: 舞台は1969年のカリフォルニア州パサデナ。若い夫婦が息子を連れてサン・ディナという女性の屋敷を訪れます。少年は首飾りを盗んだことにより悪魔にとりつかれてしまいます。サン・ディナは悪魔祓いを行なえる女性で、少年にとりついた悪魔の除霊を始めました。

A: 昔、旅行でロサンゼルスに行ったことがあるが、このパサデナはメキシコからの移民が多いんだよね。だから、ここで登場した人たちはメキシコ人ぽいんだね。

B: 除霊を始めたとたん、悪魔は彼女たちを襲います! 少年は屋敷の2階から1階へ突き落とされてしまいます。すると床が割れ、少年は地中に引きずり込まれてしまうのです。

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A: このシークエンスは気合いが入っているよね。引きずり込まれる場面では少年の影で苦しんでいる様を表現しているのは見事。さらにこの一連のカメラワーク、B級感が出てていい! 突き落とされる少年がカメラ(=悪魔)を見つめるところは、『サイコ』 のシャワーシーンを彷彿させるかのようでサイコーだね。あっ、今のは決してダジャレじゃないよ。。。

B: ・・・・・・・・・。

A: さ、早く続きを観ていこう。

B: サン・ディナが「また会いましょう、必ずね」と言ったあと、作品のタイトル「DRAG ME TO HELL」が登場します。そして舞台は現代でしょうか。主役となるクリスティン役のアリソン・ローマンの登場です。彼女は 『マッチスティック・メン』 に出演していますね。

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A: いかにも今から不幸な出来事に巻き込まれそうな表情だな。どんな不幸が待ち受けているのか楽しみだね。そんなクリスティンは小さな銀行のローンデスクで働くOL。若き大学教授である恋人クレイ(ジャスティン・ロング)のために、彼と釣り合う存在になろうと出世に燃えている。

B: そんな彼女はコイン収集が趣味である彼のために、昼休みに彼のオフィスを訪ね、会社で見つけたヴィンテージ・コイン "スタンディング・リバティー" をプレゼントする彼思いの一面を見せます。彼はもらったコインを大事に封筒にしまいます。

A: この何気ない幸せな場面。実は後々の展開に重要なシーンであったとは・・・。

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B: 銀行に戻った彼女の前に一人の老婆(ローナ・レイバー)が現れます。名前はガーナッシュ。不動産ローンの支払い滞納により自宅を強制退去させられそうになっている彼女はローン延長を頼みます。一度は良心から申し入れを受けてあげようかと考えてましたが、クリスティンは出世のために会社に不利益をもたらす彼女のやっかいな申し入れを拒否することにしました。土下座までして頼み続けたガーナッシュでしたが、それでもクリスティンは頑なに拒んだため、その夜、驚きの行動に出るのです。

A: ローナ・レイバーの演技がすごい! 薄気味悪い婆さんだな。

B: 仕事を終え、駐車場の車へと向かうクリスティン。車に乗り込んだ彼女の背後にはなんとガーナッシュがいたのです! 昼間の恨みを晴らすかのごとくクリスティンに襲いかかるガーナッシュ。クリスティンも必死に抵抗します。車のアクセルを踏み衝突させた瞬間、ガーナッシュは顔面をダッシュボードにぶつけ入れ歯がはずれてしまいます。そのあとガーナッシュはとんでもない行動に!

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A: おお! アゴに噛み付いちゃった。でも歯がないから甘噛みだな、これは(笑) このB級感、たまらなくいいね!

B: 女同士の争いはクリスティンの勝利かと思われましたが、ガーナッシュは諦めませんでした。クリスティンを車から引きずり出すと袖のボタンをちぎり、こう言ったのです。「ラミア・・・」と。そして、そっと彼女にボタンを返し、ガーナッシュは姿を消します。

A: はい、これでクリスティンには呪いがかかってしまった。さぁ、どうなるクリスティン。

B: 何か不吉な予感を感じたクリスティンは、導かれるかのように占い師ラム・ジャスの店へと入ります。彼女の背後にただならぬ気配を感じたラム・ジャスは占うことを止め、クリスティンに「誰かの呪いにより悪魔がとりついている」と告げるのでした。

A: クリスティンの彼氏クレイはそんな非科学的な話を受け入れない。自宅へと戻った彼女は、姿の見えない悪魔によってさらなる悲劇が次々に襲いかかってくる。カーテンが不自然になびく、突然揺れ鳴り出す調理器具、サタンの影が現れる。少し安っぽいコワ面白い演出。鳴り出す調理器具に至っては、家庭にこんなにもフライパン置いてあるか!?て思った人も多いはず。少なくとも10個くらいは吊り下げてあった。

B: こういった演出は好き嫌いがはっきりするでしょうね。でもこうした演出が80年代のB級ホラーという感じがしてAさんを興奮させてしまうんでしょうね。

A: オカルトものは必ず "風" や "陰影" をよく使う。ベタだな、て思う人もいるかもしれないが、この作品は単なるベタではない。王道のつくりを守りつつも確実に現代風に仕上げているため(アナログとデジタルの融合)作品には新鮮さが滲み出ている。サム・ライミって監督はこういうことが簡単に出来ちゃってるから驚きだね。ここまでの流れってめちゃめちゃベタだけど、観ていてまったく飽きない。本当に感心してしまう。

B: 心から映画を愛している証拠なんでしょうね。

A: 自分たちも気を引き締めて鑑賞しなくちゃ申し訳ないね。続き観ていこうか。

B: はい。何とか命拾いしたクリスティン。本当に悪魔がとりついているのでは・・・と思い始めますが、恋人クレイには打ち明けられず、そのままベッドで眠ることになります。クレイの横で目を閉じるクリスティンでしたが、そこへ一匹のハエが飛んできてふと目を覚まします。寝ぼけた表情でまたベッドに横になろうとしたクリスティンの横には・・・

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A: はい、また婆さんが出てきたよ! しかも口から変な虫いっぱい出してきたよ!

B: すべては呪いによる幻覚でした。呪いの言葉をかけられてからというもの、クリスティンの身の回りでは恐ろしい幻覚が次々と現れます。

A: 鼻から口から止め処なく溢れ出てくる大量の血は圧巻。こんな演出を思いつくなんて、やっぱりサム・ライミは天才だ。そういえば昔 『ブレインデッド』 という個人的に史上最高のスプラッターだと思っている作品があったけど、なんかそれを思い出した。 『ブレインデッド』 のほうがもっと凄いけど(笑)

B: さすがにここまで呪いがエスカレートしてしまうとお手上げ状態です。老婆に謝って許してもらおうと、クリスティンはガーナッシュがいるであろう親戚宅を訪問します。家の中に招き入れられ、これで何とか許してもらえれば元に戻ると安心した彼女でしたが、そこで驚きの光景を目の当たりにするのです! なんとガーナッシュは亡くなってしまっていました。

A: どうすれば呪いを解くことができるのか。再びラム・ジャスに相談し、彼女は大切に飼っていたネコを生け贄として殺す。彼氏の前で何事もなかったかのようにふるまう彼女が痛々しい。

B: 生け贄を捧げ、これで呪いも解けたはずだと思われましたが、彼氏の両親宅に呼ばれ楽しい夕食のひとときを過ごしていたとき、またも幻覚が現れるのでした。

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A: このあたりは 『エルム街の悪夢』シリーズ のような演出だね。あの作品では電話の受話器やドアなど、何でもフレディになっちゃってやりたい放題だったな(笑) このあとクリスティンはガーナッシュの幻覚と戦う。クリスティンの口に腕を突っ込まれる場面やガーナッシュの目玉が飛び出しちゃうシーンなど、痛快ホラー炸裂。

B: 簡単な生け贄では解決できないとクリスティンはラム・ジャスからサン・ディナを紹介してもらいます。サン・ディナによる悪魔祓いは高額で、クリスティンの全財産ではどうすることも出来ませんでしたが、彼女を救ってあげたい恋人クレイの協力もあり、ついにサン・ディナの屋敷へ向かうことができました。

A: サン・ディナは少年を救えなかった過去の無念を晴らす為とはいえ、お金はきちんともらうんだね。そこは商売と割り切ってるんだな。

B: さあ、悪魔祓いの始まりです! まずは交霊術で悪魔ラミアを呼びます。そして生け贄となるヤギにラミアを封じ込め、ヤギごと葬れば勝利です。

A: まずはサン・ディナにラミアが乗り移る。ヤギに乗り移らすことに成功するが、次の瞬間、助手に乗り移ってしまう。

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A: 助手は宙に浮き、踊り始める。このシーンたしか 『最終絶叫計画』 で見たことあるような・・・。この演出は明らかに遊んでる(笑)

B: サン・ディナによって助手の体からラミアを取り出すことは出来ましたが、結局、ラミアを葬り去ることは出来ませんでした。そしてさらに最悪なことにサン・ディナは絶命してしまいます。助かるにはどうすればいいのか・・・。そんな矢先、ラム・ジャスがふとこんなことを口にするのです。「呪いが始まって3日後、ラミアは呪い物の持ち主のもとへ現れ地獄へ連れて行く。君が呪い物である服のボタンを他の人へ渡せば君は助かる。しかし、渡された人は地獄へ連れて行かれることになる。」と。そして、ラム・ジャスは呪い物である服のボタンを封筒に入れ、静かにクリスティンに手渡すのでした。

A: はい、きた。 "実は助かる方法まだあるんだよ" 発言。B級ホラーの定説だね。これを聞いたクリスティンは、全くの赤の他人に渡そうか会社の嫌な同僚に渡そうか、いろいろ悩んだ挙句、あるナイスアイデアを思いつく。それは埋葬されたガーナッシュに返すことだった!

B: いよいよ終盤ですね。大雨の降る中、墓を掘り起こしたクリスティン。ウジの湧いたガーナッシュの遺体に悪戦苦闘。なんとか口の中にボタンの入った封筒を押し込むことに成功します。慌てて墓から這い出ようとするクリスティンでしたが、大量の雨水が流れ込んできて思うように墓から出ることができません。次第に水かさが増してきて、水の底に沈んだはずのガーナッシュの遺体は再び現れます。

A: この場面は 『ポルターガイスト』 のラストを彷彿させるね。

B: あれこれピンチはあったものの、無事クリスティンは脱出することができました。

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A: よかったね、これにて一件落着・・・と思ったら大間違い! まだとんでもない続きがあるのだ!

B: 翌朝、気分も爽やかに恋人クレイと別荘への旅行に出かけるクリスティン。駅のホームで待ち合わせている彼のもとへクリスティンは買ったばかりの服を着て向かいます。信じて見守ってくれた彼とこれから訪れる幸せに高ぶるクリスティン。自慢げに服を見せたとき彼から思いもよらない意外な言葉が出てくるのです。「前の服は? 残念だなあ、車にこんなものが落ちていたから、もしやまた縫い付けるのかと・・・」

A: 彼はおもむろにジャケットの内ポケットから封筒を取り出した。その封筒の中にはなんと呪い物であるボタンが入っていたのだ! クリスティンはどさくさに紛れてクレイにあげたコインが入った封筒とボタンの入った封筒を取り違えてしまっていた!

B: 結局、呪い物はまだ自分の元にあったのです! あまりにもショッキングな出来事にクリスティンは後退りし、駅のホームから転落してしまいます。そこへ電車が迫ってきて・・・

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B: 電車に轢かれる直前、地面が割れはじめクリスティンは呪いの通り、ラミアによって地獄へ連れて行かれるのでした。終わりです。

A: いやー、実に爽快な終わり方だ。続編がありそうなビミョーな終わり方はこの作品には似合わない。かといってハッピーエンドも面白くない。「人には優しくしましょう」という教訓も込めて、これはパーフェクトな終わり方だね。もとはといえば自分で蒔いちゃった種なんだから(笑)

B: サム・ライミ監督がラストを作りながらニヤニヤしている姿が思い浮かびますね。



↓今回のコメンタリー作品

スペル



↓コメンタリーで登場した映画作品群

スパイダーマン


死霊のはらわた


ダークマン


サイコ


マッチスティック・メン


ブレインデッド


エルム街の悪夢


最終絶叫計画


ポルターガイスト


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posted by はるさめ at 07:18 | TrackBack(6) | ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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