2010年09月19日

【観た人にしか伝わらないネタバレ映画レビュー】

『第9地区』(2009年 米・新西蘭)

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(C) 2009 District9 Ltd All Rights Reserved.

『第9地区』(原題: DISTRICT 9)
2009年 アメリカ/ニュージーランド作品
監督 : ニール・ブロンカンプ
出演 : シャールト・コプリー 、デヴィッド・ジェームズ 、 ジェイソン・コープ 、
ヴァネッサ・ハイウッド ほか


---- あらすじ/ストーリー ----
ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。

以下はこの映画に対するコメンタリーとなります。
ネタバレ(画像付き)なので注意してください!



A: お待たせしました。約2ヶ月ぶりのコメンタリーだね。今回はSF史に革命を起こしたとまで言われた『第9地区』を紹介しよう。

B: SF好きの私にとって、非常に興味津々な作品でした。劇場で予告編を見たときに、これは絶対に観に行かなきゃ!って思いましたね。

A: あの予告編は笑えたね、宇宙人に尋問してるところなんか、いい感じにB級っぽくてよかった。私も劇場へ足を運んでこの作品を観たけど、単なるB級SF映画ではなかったという驚きと、随所に観客を飽きさせない工夫があったところに感心した。今年劇場で観たSF映画の中では、今のところトップの面白さだね。

B: ですよね。私も演出に感心するばかりでした。では、そのあたりの解説も含めて『第9地区』を振り返っていきましょう。

A: そうしよう。

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B: ストーリーはドキュメンタリー風のタッチ、いわゆるモキュメンタリー手法で描かれていきます。南アフリカのヨハネスブルグに突然飛来したエイリアンの宇宙船。宇宙船に突入した南アフリカの軍は、そこで衰弱しきったエイリアンたちを目撃します。世界中から注目され、責任ある対策を迫られた南アフリカ政府は、エイリアンを難民として受け入れ、宇宙船の真下に難民キャンプを設置します。そこは "第9地区" と呼ばれ多くの宇宙人によりスラム化していました。

A: この始まりを見たとき、今までにない奇抜な設定だったからドキドキしたね。どう考えてもアパルトヘイトを意識した作品だと思うんだけど、ニール監督は「意識していない」と言ってるらしい。それも話題作りだと考えれば、宣伝戦略もうまくいった作品だね。巨大な宇宙船が都市上空に飛来する場面は『インデペンデンス・デイ』を彷彿させ、リアリティある映像なので、低予算といってもそれなりにお金がかかってる。もっぱら今の映画作品における予算のほとんどは、俳優たちのギャラなんだけどね(笑)

B: こうやってみるとほんと、CGの発展には目を見張るものがありますよね。さて、20年経ってもエイリアンたちに帰る気配はありません。おそらく母船を動かすための指令船を失ったのだろう、と推測した学者たち。エイリアンたちは兵器を隠し持っていたり、街中で人間たちに危害を及ぼしたり、やりたい放題。武力行使でエイリアンと人類を隔離し続けていることにも限界が見えてきました。そこで政府は、第9地区の管理を委託している民間企業のMNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド社)に、エイリアンを都市部から離れた第10地区へ移動するよう命じます。

A: MNUはエイリアンを第10地区へ移動させるため第9地区の強制退去を指揮する責任者としてヴィカスを任命する。これによって、ヴィカスは恐ろしい出来事に巻き込まれることになる。

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B: ここでもインタビューに答えている家族や友人が「まさか、あんなことになろうとは…」と意味深な発言をしていますよね。

A: 先の展開が見たくなる演出、うまいよね!

B: 武装したヴィカス率いるMNUの部隊は、第9地区へ乗り込み強制退去をエイリアンたちに命じていきます。エイリアンは通称 "エビ" と呼ばれ、ヴィカスは少しいい加減な形で無理やり退去を命じていきます。

A: 意味不明な言葉を発しているエイリアンと、普通に会話できているのが笑えるね。20年も一緒にいるからお互い言葉を理解し合えるのだと思うけど、こういったクスっと笑えるB級っぽい演出がこの作品の魅力だね。エイリアンはネコ缶(キャットフード)が好きっていうのも面白い。このアイデアは実際に海老をネコ缶をエサに釣ることがあるところからきているらしいよ。エイリアンのパワーは強く、吹っ飛ばされた人間の腕がちぎれるなどグロい描写も出てくるので、映像の迫力も満点。

B: 後半、もっとグロいシーンが出てきますよね(笑) では少し飛ばしながら続きを行きましょう。ヴィカスはエイリアンたちの卵を発見し、彼は簡単に卵を焼却します。エイリアンに対して彼の態度は非情なものでした。このあたりから観客たちは少しずつエイリアン側の立場に移動していく感覚になっていきます。

A: ここから徐々にモキュメンタリーからドラマ作品へと移行していく。画面右下にあったMNUのロゴが消えていることからも分かるように、ここからは徐々にカメラで撮影しているという体(てい)ではなくなってくる。

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B: ここで、カメラは3人(匹?)のエイリアンたちに注目します。彼らは宇宙船からこぼれ落ちた部品の山からエネルギーを採取していました。それは母船へ戻るために必要なエネルギー。20年かけてようやく必要最低限の量を集めることに成功した彼の住まいに、運悪くMNUが訪問します。家宅捜査を行なったヴィカスは、そこで隠し部屋を発見。そして彼らが集めたエネルギーの入った瓶を見つけると、次の瞬間、その中身が噴出し、ヴィカスは液体を浴びてしまいます! 一方、エイリアンの一人は自分の身を守ろうとMNUに反抗、射殺されてしまいます。

A: 仲間を失ったエイリアンの名はクリストファー・ジョンソン。彼は怒りを抑え、母船へ帰る計画がばれないよう冷静に立ち振る舞う。そのとき、ヴィカスの体に異変が…。

B: 彼は先ほどの浴びたエネルギーによって、エイリアン化し始めたのでした。

A: 体が変化していく描写は、まさに『ザ・フライ』そのものだね。残酷なまでに変貌を遂げていく彼。エイリアンに対しての横行で、しっぺ返し食らっちゃったね。必死で集めたエネルギーをMNUに奪われちゃって、エイリアンたちがかわいそうだ。

B: ここではエイリアンたちに同情しちゃいますね。さて、今まではMNUとエイリアンの関係について描かれていましたが、ここからギャングたちも関わってきます。彼らはエイリアンたちの武器を手に入れることが目的。しかし、その武器は人間たちには使えないようロックがかかっていました。

A: ギャングたちはエイリアンのパワーを手に入れることができれば武器を使えると思い、エイリアンの肉を食べる。なんとしてでも武器を使いたい執念を感じさせる少しオカルトチックな内容だね。

B: さて、場面はヴィカスのその後へと移ります。体調の悪化で気を失ったヴィカスは、自分の左腕がエイリアン化していることを病院側に知られてしまい、MNUのラボへと搬送されます。そこはエイリアンの武器を悪用したいがために、彼らを解剖し生体を研究している機関でした。ヴィカスはそこでエイリアンの武器を持たされ、作動するかどうかの実験を強制的にさせられます。武器はヴィカスの左腕に反応し、問題なく作動しました。豚の枝肉をターゲットに発砲を強いられるヴィカス。そして、彼の目の前には豚肉ではなく、一匹のエイリアンが連れてこられました。

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A: うーん、ここは胸がつまるね。映画で作り物だとは分かっていながらも、この描写は残酷だ。

B: このあたりは一気に重々しい雰囲気になりましたよね。この作品は、ほんといろいろな要素が詰め込まれています。

A: 堪りかねたヴィカスは逃亡する。逃亡してもその風貌で目立ってしまう彼は、仕方なく第9地区へ隠れることにした。

B: 追ってくるMNUの軍隊。ヴィカスはクリストファーの家に逃げ込みます。突然の人間の訪問に驚くクリストファー。クリストファーは彼の変貌した左腕を見るなり、無くなった液体の在りかを知っていると思い、ヴィカスをかくまってあげます。

A: クリストファーはヴィカスの体を元に戻すことを条件に、液体を取り戻すためMNUのラボへ突入することを提案する。その夜、更なる変貌を遂げていく哀れな自分の姿に涙するヴィカスは、妻へ電話をかけてしまう。その電話はMNUに傍受されていた。

B: ああ、もうピンチですね。

A: このピンチをヴィカスたちがどう切り抜けるか…。ここからはアクション作品に切り替わっていくぞ!

B: MNUへの侵入は自殺行為。そこでヴィカスはギャングたちのアジトへ向かい、武器を買いたいと交渉します。しかし、交渉は失敗。仕方なくヴィカスは武器を奪い取りMNUのラボへ侵入するのでした。

A: なんとか液体を取り戻すことに成功。ヴィカスとクリストファーは急いで第9地区へと戻る。指令船へと乗り込もうとするクリストファーにヴィカスが質問する。「母船へ戻れば俺の体はどれくらいで元に戻る?」と。クリストファーの答えは「3年だ」。それはヴィカスにとって意外なものだった。

B: 逆上したヴィカスはクリストファーを殴り、指令船を乗っとります。

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A: 液体エネルギーをセットしたヴィカスは指令船を浮上させるも、MNUの攻撃に合い、指令船は墜落してしまう。ここのシークエンスは中継カメラの映像として描かれていてリアリティある演出で、私は作品中最も好きな場面だな。

B: たしかに墜落していく様子がリアルですよね。

A: さあ、いよいよ圧倒的ピンチに追い込まれたヴィカス。どうなる!?

B: 墜落した指令船から引きずり出されMNUに捕まったヴィカス。そこへ運よく?ニュースを見て駆けつけたギャングたちがMNUを襲い、ヴィカスはギャングたちに捕まってしまいます。ギャングたちの目的はヴィカスの左腕を切り落とし手に入れること。絶体絶命のヴィカス。それを救ったのはクリストファーの息子でした。息子は指令船から母船を操り、またギャングたちのアジトで眠っていたパワードスーツを遠隔操作し、ギャングたちを一掃したのです。

A: ここからはロボット映画になり、SF度満点。銃の弾を強力な磁場で受け止めるところなんか、かっこよすぎだよね。『エイリアン2』でもパワードスーツが出てきたけど、それよりも洗練されたデザインとCGによる滑らかな動きで、ほんと見ていて清清しい!

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B: さて、そろそろクライマックスですね。ヴィカスはパワードスーツに乗り込み、指令船へ向かおうとします。しかし、そのとき彼はクリストファーがMNUに尋問で苦しめられていることに胸を痛め、救出するためMNUと戦う決意を固めるのです。

A: ようやくワガママだったヴィカスが改心したよ。ヴィカスとクリストファーに友情が芽生えた瞬間だな。

B: 撃たれてボロボロになりながらも必死でクリストファーを指令船へ送り届けようと頑張るヴィカス。ここのシークエンスはロボットSF作品の中でもトップクラスではないでしょうか。

A: 『トランスフォーマー』のときも市街戦のリアルさに興奮したけど、この作品のロボットの撃たれたときの衝撃とか、だんだん機体が損傷していく様とかたまらなくリアリティを感じるね。

B: 「3年後に必ず戻ってくることを約束する」と言い残し、無事指令船に着いたクリストファー。母船の入口が開き、再び浮上する指令船。MNUはロケットランチャーで指令船を狙い撃ちしようとしましたが、ヴィカスが最後の力を振り絞り、それを防ぎました。

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A: パワードスーツはその後制御不能に。なんとか機体から這い出たヴィカスは、MNUに捕まってしまう。死を覚悟したヴィカスを救ったのは、これまた第9地区に住んでいるエイリアンたちであった。最後までにくい演出、実にいい!

B: 母船はヨハネスブルグを離れ、地球から姿を消しました。ヴィカスはその後、行方不明に。第9地区はその後第10地区への移転完了とともに閉鎖。ヴィカスの妻はインタビューに対して最後、「玄関先に手作りの花(鉄の破片で作った花)が置いてあったの。きっと彼はどこかで生きているんじゃないかって思うけど…」と応えました。

A: 第10地区では完全にエイリアンになってしまったヴィカスがゴミを集め、一生懸命に花を作っていた。クリストファーの帰りを待ちながら…。

B: 最初のドキュメンタリー風からサスペンス、終盤のアクションを通して最後は友情と愛情で締めくくる、まさにエンターテイメントと呼ぶにふさわしい作品でしたね。

A: この作品、きっと続編があるはず。次はどんなふうに我々を驚かしてくれるだろう。もう待ちきれないね! 




↓今回のコメンタリー作品

第9地区



↓コメンタリーで登場した映画作品群

インデペンデンス・デイ


ザ・フライ


エイリアン2


トランスフォーマー



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posted by はるさめ at 17:39 | TrackBack(6) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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